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フリーコラム~プロ野球開幕延期を受けての私感~



3月9日、コロナウィルスの蔓延により、3/20に予定されていたプロ野球開幕は延期となった。
今後の日程については、12日の会議によりクライマックスシリーズの中止を含め、検討に入ると伝わっている。

会見によれば、「今後の日程のたたき台はある」というコメントを聞くと、”危機管理“としてある程度日程変更も視野にいれ、NPBと12球団は動いていたのだろう。
協議をともにしたJリーグは4月3日という具体的な、再会日時を示して動く準備をしている。
NPBは「143試合を実施」としていることから、4月の第一週、もしくは第二週を開幕日と設定し動きそうだ。
143試合をこなすには、4月の前半というのがデッドラインだということが見える。
オールスターはNPBの収入源ということで全面的な中止というのは難しい。
そのため、上位2チームに限定的な興行メリットがあるクライマックスシリーズを削るという方向性が出たのだろう。
今後は、開幕日を設定したあと、その前の5日間ほど試合を延期。
その前の延期となった公式戦をOP戦にするのか、練習試合として行うのかが発表されるという流れになりそうだ。
OP戦にした場合は、無観客とはなるものの、テレビ中継が入る。
かなりの減収となる球団にとっては、たとえ安くなったとしても放送権料は欲しいところで、もともと公式戦を中継する予定が組まれていたことから、CSを含むテレビ局にとってもメリットはある。

ここからは個人的な意見を書く。

まず無観客で公式戦をという声はあるが、コミッショナーは完全否定に近い言葉を残した。
これは当然のことだ。
放送権料が下がっている中、各球団にとってもっとも収益が上がるのは、チケットでありグッズ収入。
中でも柱になっているのが、年間シートだ。
神宮球場は年間シートの価格がもともと安い。
今季、オリンピックの影響で本拠地を使えないスワローズは、さらに本拠地試合減で下がっている。
しかしもっとも高いスターシートが278300円、ムーンシートが259600円、ブルペンシートでも142780円となっている。

すべて1席の値段で、ネット裏は内野席全体でホーム、ビジターが分けられないのは、この買い手のメインが企業だからだ。
無観客の試合をテレビやネットで観戦するのは、熱心な野球ファンだけであり、企業がそこにまでお金を落としてくれるとは考えにくい。
それどころか、払い戻しに応じなければならない。
無観客となれば、値崩れを起こしている放送権料だけが収入源。
その中から選手や球団関係者の年俸を払わなければならない。
球団に収入がないのだから、高額年俸の選手は減俸というわけにはいかない。
サラリーマンであれば、所属組織の売り上げが悪ければ給与、ボーナスカットということがあるかもしれないが、プロ野球選手は個人事業主であり報酬は契約で決められている。
OBやメディアの人の中に、「無観客で」といっている人もいるが、実況や解説をノーギャラでやるつもりだろうか?
自分はお金をプロだからもらうが、球団の減収は知らないというのなら無責任な発言だ。

またプロ野球は、娯楽であると同時に産業でもある。
各スポーツもプロ、企業が出資と形は違っても、そこで収入を得ている人たちは、アルバイトも含め大勢いる。
無観客では、その人たちの収入も断つことになる。
球団が守るのは、選手やファンの健康、安全だけでなく、そこで働いて収入を得ている人たちの生活も含まれている。
1日6試合を行えば、10万人以上の集客があるプロ野球は娯楽であるだけでなく、経済活動のひとつだ。

もうひとつの役割は日常を作るということになるのだろう。
プロ野球に限らず、スポーツやイベント、映画や演劇に音楽のライブ、遊園地などのアミューズメントパークは軒並み閉鎖されている。
当たり前のようにやっていたものが、延期、中止となるのは、経済活動を止めるのと同時に非日常を生み出す。
「人が集まるから危険」というが、トイレットペーパーを買うために、スーパーやドラッグストアの前に開店前から並んでいる人たちは、2メートル間隔で立ってはいない。
なにしろ相手はみえないウイルスなのだから、どこでどうやって感染してしまうかわからない。
危険という意味では、どこにいても同じだ。

ただ非日常が続けば、これに拍車をかけることになる。
それをもっともわかりやすい形で打ち破るのが、エンターテイメントだ。
ウイルスはたしかに危険だが、家の中に閉じこもっていれば、ストレスはたまる。
「病や気から」というが、ほかの病気になる可能性もある。
病気はコロナ肺炎だけではない。
である以上、会議の答申でもあったように、「マスクや消毒液などの不足」が解消される時期を待って、各エンターテイメントは再開するのが順当だろう。

もちろん観戦に条件は付く。
衛生面、医療面ともに、昨年まで以上に整えなければならないが、それに加え体調が悪い場合は行かないという、出掛ける側も責任をもたなければならない。
そういう人たちのために払い戻しを、ネットやスマホで済ませられるようなシステムを作りキャンセルをするための、ハードルを下げる必要もある。

今回の延期は、そういった準備をするために必要なものであり、各球団は日程だけでなく、水面下で動きは見せていただろう。
コミッショナーを頂点としたNPBは、それをまとめ上げていき、開幕日を早急に決めることだ。
ただその場合、再延期を恐がらず、再び日程をずらす場合があることも考えながら動くことが大切になる。

現状ではどんな決断をしても、賛否は分かれる。
再延期まであれば、批判にさらされることもあるだろう。
開催日を決め、再延期も考えながら準備をしていく。
最後はコミッショナーが決断したことに、12球団が従う態勢を整える。
その決断のもとに、ファンは自分たちにも責任があると自覚したえうえで観戦に行く。
責任を持ち合い、分け合うことが大事になっていくのだろう。
それを守っていくことで、日常が取り戻されていく。

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フリーコラム~ID野球はなぜ面白かったのか?野村野球はミステリー小説



好みは人それぞれだ。
ただ、私はスワローズファンであると同時に、野村監督の野球が好きだった。
ID野球と呼ばれた、スワローズ時代の野村野球。
今のデータを中心とした、日本のプロ野球の源流のような野球だ。
現在では、プロの球団であれば、どこでも多くのデータをもっている。
素人でさえも、プロ野球のデータを集められる。
しかし、なにか野村野球とは違うもののように感じてしまう。
野村監督が永眠し、あらためて90年代のスワローズの野球の、なにが楽しいと感じられたのか?
もちろん、ある程度のことは考えてきた。
個人的に出てきた答えはある。
それを、SNSなどで発信はしてきたが、ひとつの区切りとしてまとめて書いておくことにした。

同じ相手と何度も当たるプロ野球にとって、データは非常に大切なものだ。
しかし、数字だけで物事は計れるものではなく、集計されたデータをどう使うかということが、本来もっとも必要だと考えている。

野村監督が亡くなり、追悼番組がいくつか放送された。
その番組の話題の中で、ミーティングの長さや中身は語られてはいたが、それと同時に多かったのは、最終的には「気合と根性」の人だったというものだった。
まずここに面白さがある。
気合と根性というのは、感情的なものだ。
それでありながら、掲げているテーマはデータ野球。
相反するものだ。
しかし相反しているからこそ、野村監督はいったんデータを咀嚼し、自分の中に入れてから、納得するものを選手に伝えていたように思える。
一度、自分の中へ入っているからこそ、数字という平面的なものが、立体的に選手に伝わったのだろう。
そして自らの欠点といっていた「情」の部分を打ち消すにも役立った。
選手に伝えるためのデータであり、自分の感情を抑えるものにもなっていた。
変な言葉かもしれないが、IDを訳すと、愛とデータの野球。
数字に感情がこもった野球だったように思える。

そしてもうひとつは、データを基にしてアイデアを練るというのも野村野球の特徴だった。
「セオリー」という言葉を野村監督はよく使ったが、いいかえれば野球の常識というものだろう。
非常識という言葉はあるが、野村監督の場合は常識を知ったうえで、そこから外れたものを策として託してくる。
相手もプロである以上、セオリーは知っている。
だからこそ裏をかきやすい。
この場合のIDは、アイデア野球となる。

数字で出たものをそのまま当てはめて行けば、それ以上のものは生まれない。
勝負に運はつきもので、セオリーだけで勝てるのは戦力をもったチームだけだ。
弱者の戦略と野村監督は口にしていたが、データの通りにするのではなく、そこに感性を加えた。
数字だけを追いかけてしまえば、そこで思考は止まってしまう。
感性を働かせるための、材料としてデータを使っていた。

そしてデータに関しても、なぜそうなるのか?を考えていたように思える。
「根拠をいえ」と古田捕手はよく言われたというが、野村監督自身も「データの根拠」を追いかけていたように思える。

データ的には高い確率であっても、100%ではない。
残りの数パーセントのことも、野村監督は考えていただろう。
そしてその確率の低い策を、どこで使えば可能性を高めることができるかを考えていたように思える。
打者への攻めであれば、あえて得意なコースに投げさせてみる。
投手を攻めるのであれば、勝負球を捨てていくが、この場面だけはというところで、その球に狙いを絞る。
データ的には間違いになる攻めだ。
しかし策としては裏をかく格好になる。
本来データとは数値からされたものだが、野村監督のデータには血が通っているように感じられた。

人は考えに行き詰まると、マイナス思考に陥りやすい。
データはそうならないための、準備として使う。
プレー中に感性を働かせる邪魔をしないために、データは頭の整理をする材料となっていた。

数字は嘘をつかないという。
だから信じるのではなく、なぜその数字が出たのか?理由まで探ることで、血が通い伝わりやすいものに変化していく。
少なくとも、野村監督が作り上げてきたデータは、確率が高いものを選ぶものではなかったはずだ。
そうではなく、低い確率としてデータ上は出ていても、それを高めるために感性と頭を使ったのだと私は勝手に考えている。
難しいようだが、実はいろいろなデータをかき集めるより、こちらの方が素人にはわかりやすいし、面白い。
データを根拠にするのではなく、説得力のある根拠をデータから見つけ出していく。
素人にもわかるのだから、プロの選手ならより理解しやすかっただろう。
ID野球と言葉になると難しいが、その中身は野村監督がかみ砕いているために、シンプルになっている。
若い選手が躍動したことで、90年代のスワローズは人気チームだった。
もちろん選手に魅力は否定しないが、野村野球は野球経験者でなくても、女性でもわかる技術論ではなく、組織で戦う戦略がメインになっていたからではないだろうか?
翌日のメディアには、すべてではなくてもその答えが出ている。

まるでミステリー小説のようだ。
野村監督は、ミステリー小説同様、いろいろな登場人物を自分の分身として配置し、勝利のための伏線を張り、心理的な揺さぶりをかけていく。
それはセオリー通りの時もあれば、どんでん返しのように裏をかくこともある。
そこに自らは欠点といっていた人間ドラマが絡む。
最後には、登場する謎解きをする探偵は、野村監督自身だ。

力と力の勝負も野球にはある。
それもひとつの魅力であることは間違いない。
しかし野村監督は、謎解きというエッセンスを加え、戦力的には劣るチームを勝利へ導く型を好んだ。
データを根拠にすれば、謎は生まれない。
なぜこういう結果がデータとして残るのかを探ることで、謎は生まれてくる。
そこに情が絡むことで、人間ドラマも生まれてくる。

選手、コーチとして野村監督に使えた池山現スワローズ二軍監督は、「詩人のようだ」とインタビューで答えていたが、どちらかといえば小説家だろう。
野球を題材とし、なぜ?なのかということを紐解くためにデータが必要とされる。
データありきではなく、疑問を解消しそれを選手やファンへ伝えるために利用した。
ID野球という名の、ミステリー小説を書き続けた作家だった。
その中でも、もっとも完成度の高いベストセラー小説となったのが、魅力的なキャラクターがそろった90年代のスワローズだったように、私には思える。


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111から11へ…123からもう一度

グラウンドで行われていることは、奇跡の連続だ。
150キロを超えるような球を投げる投手。
左右、低めに目の前で曲がる球も投げる。
その球を平然と受ける捕手。
打者は、丸い球をこれも丸いバットでとらえる。
100メートル先のフェンスを悠々超えていく打球。
ただそんな打球を打つ打者も現在のプロ野球のシーズン143試合で40本打てばタイトルに手が届く。

しかし球場で、テレビで、日本中から集められた超人たちがプレーするのを見ているうちに、目の前で行われているプレーが普通のことだと思うようになってしまう。
慣れは奇跡を普通のものにしてしまうのだ。
そんな試合の積み重ねの中でも、信じられないような飛距離、守り、投球に目を奪われる。
ただそれは試合全体を支配するものではない。
球場からの帰路、「あれはすごかった…」というぐらいで翌日試合が始まれば、それは過去となり、記憶の中に収められていく。
一年中語るプレーはごく少数、数年後まで記憶を言葉にすることは、より数が少ない。

そんなプロ野球だが、「復活」だけは別物だ。
故障から病から、グラウンドへ戻ってくる。
プレーではなく、生き様がその姿に張り付いているのだ。
「復活」は勝ち負けよりも、重い時がある。
ファンだけでなく、同僚であるチームメイト、相手チームまでが「復活」の空気に包まれ、球場は異様な雰囲気を見せる。

人は奇跡の瞬間を好む。
そのわかりやすい復活劇は、まさにシンプルな奇跡の瞬間なのだ。

アスリートが好き好んで故障などするわけがない。
病気は日頃体を鍛え、気遣っていても襲ってくるものだ。
現実にプレー出来ない体になった選手にとっては深刻なものだ。
そして復活を果たせなければ、過去の選手になってしまうことはわかり切っている。
贔屓にしているファンが、語り継ぐことはあっても、多くのファンは記憶の片隅にとどめているだけで、きっかけがなければ、その名前を口にすることはなくなる。
ただし「復活」を果たせば、その選手は伝説となる。

日本最速の球を投げる若い投手がいた。
特別大きな体ではないながらも、球場で響かせるミットの音は、他の投手とは明らかに違ったものだった。
見ているだけでわくわくするような投手だった。
しかしある日を境に、その投手の姿はマウンドから消えた。
ファームの施設でリハビリに汗を流す日々。
ただその報道もいつしか少なくなっていった。

二桁だった背番号は三桁になった。
戻ってきてほしい、その思いとともに、もうダメなのかということも伝わってきた。
そこから彼は戻ってきた。
二桁の背番号を取り戻し、本拠地のマウンドへ戻ってきた。
奇跡と言ってもいいだろう。
ただ本当の奇跡は、完全復活を果たしてこそだ。
そしてその完全復活は、同じユニフォームで果たされるものと信じていた。
しかしまたも彼はマウンドから消えてしまった。
ファームのマウンドにさえ戻ることはなく、チームは奇跡の復活の道をこれ以上伸ばすことは出来なくなった。

ただ彼はまだ諦めなかった。
手を差し伸べた故郷のチームの三桁のユニフォームに袖を通す。
一瞬の奇跡ではなく、伝説になる完全復活を目指し、ファームのグラウンドからはるか遠くに見える一軍のマウンドに戻るための道を選んだ。

神宮の奇跡の光は一瞬で消える流星のようなものだった。
ただそれを見せたのは事実だ。
故郷仙台で、ずっと光り続ける星のような奇跡を見たいと願う。
一度は手に入れかけた奇跡の向こう側にある希望を手に掴んで欲しい。
重々しく響くミットの音を聞きたい。
彼にしか出せない音をもう一度。

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文庫版『根本陸夫伝』出版記念イベントの告知!&コラム「冷酷ではない非情 GMの存在とは?」



2013年まで紘野もかかわっていました、「野球ファンネット」が久しぶりにイベントをプロデュースします。
詳しくはこちら!
駅前野球大学5年ぶりに復活!文庫版『根本陸夫伝』出版記念イベント
日時:2018年11月16日(金)18時30分開場。19時開演
会場:「Creator's District 神保町」
まだ若干チケットがあるようなので、是非お越しください。
当日は紘野もお手伝いに参加する予定です。

「根本睦夫伝~プロ野球をすべて知っていた男~」高橋安幸著
近鉄バファローズへ入団し引退後コーチ、その後広島カープ、クラウンライター、西武ライオンズで監督を務めた後、西武球団管理部長へ転身し、退団後ダイエーホークス監督から再びフロント入りした後、最後は球団社長まで上り詰めた経歴。
ただ監督としてはあまり好成績を残したタイプではなく、“球界の寝業師”と呼ばれた編成面での功績が多く残されている根本陸夫氏。
来季からライオンズでは渡辺久信氏、イーグルスは石井一久氏と新たなGMが生まれるも、その原点となっているのが根本氏と言っても過言ではないだろう。
本書は、その根本氏と関わった関根潤三氏、故衣笠祥雄氏や現役監督のホークス工藤公康監督などの証言から、その人間性を浮き彫りにしていく形をとっている。
今回のイベントでは、本に書けなかった裏話なども話されるということ。
イベントに参加していただければ、プレーだけでなく、チームが出来上がるまでの過程を知ることで、ドラフト会議やトレードに関する見方も変わってくるはずです。

さて本の内容に関しては読んでいただき、裏話はイベントで聞いてもらうとして、この本を読んで私が興味を持ったことを少し書いてみたいと思う。

編成面での辣腕は今でも伝説となっている根本氏。
人間的な魅力も多くあったことは本書でも語られているが、一方で今季までベイスターズでGMを務めていた高田繁氏が「こんなに辛いポジションはない」というほど、過酷な仕事だということも伝わってくる。
どんな裏技、駆け引きを使って入団させたとしても、選手にプロ野球への入り口を作ることに変わりはない。
その先に厳しさがあったとしても、そこには希望が見られる。
しかしGMの仕事は入り口だけでなく出口を作るものでもある。
入ってくる選手がいれば、その分出ていく選手もいるのだ。
高田氏が「辛い」と言ったのはこの部分だろう。

その辛い仕事を、長年各球団でやりながら根本氏を「オヤジ」と愛情を込めて呼ぶ元選手が多いのはなぜか?
その理由に「非情」さがあったと思えるのだ。

「非情」という言葉には「冷たい」という印象を持つ人は多いだろう。
しかし混同されがちな「非情」と「冷酷」という言葉は違う意味を持つ。
これは私の勝手な考え方かもしれないが、「非情」とは“0”であり、「冷酷」は“マイナス”だと思っている。
本書を読んで、根本氏は監督として選手が音を上げるような過酷で単調な練習を、編成トップとしてトレード、戦力外の判断をしているが決して「冷酷」でははないのだ。

言い換えれば「非情」というのは、同じ視線に立つということ、「冷酷」は上目線となる。
同じ視線に立っているからこそ、相手を思う心が生まれ、どうしたらいいのかという考えが生まれる。
そして相手からすれば、同じ視線だからこそその人物の大きさが伝わってくるのではないだろうか?

さらに「非情」になれる人の特徴は、俯瞰で物事を見ることが出来るというものだ。
その俯瞰で見る視線には自分も含まれている。
相手の目線に立ちながら、自分すらも客観的に見る。
それが出来ない人が「非情」になろうとすると「冷酷」にしかならない。
ある意味資質のようなものだといってもいい。

根本氏は編成トップとして、この「非情」な部分を持っていた。
チームを俯瞰で見ることで、必要か必要ではないか?を常にシンプルに考えていた人、本書を読んでそういう印象を受けた。
「非情」というと冷たいと思われるがそうではない。
あくまでもフラットな視線で、周りを見ているために、野球選手として好みはあったとしても、感情的な好き嫌いが存在しない。

そう感じさせるのは、本書で数多く語られている選手についてではなく、監督の選び方にある。
根本氏は監督人事にも介入出来る編成トップだった。
根本氏はカープ、ライオンズ、ホークスで監督を務めている。
カープでは編成トップという位置づけにはなっていないが、当時の監督はコーチ人事、トレードなどにも権限がある人が多くいたことから、ある意味全権監督。
その後のライオンズ、ホークスでは監督を務めた後、編成へ転身している。
弱小チームに上昇気流の流れを作るために監督へ就任した後、編成へというのが決まったルートだったわけだ。
そうなると、流れを作った以上同じ、自分と同じタイプの監督を選びそうだが、あえて真逆の指揮官を選択している。

根本氏の監督としてのスタイルは、主力選手になるべき人材を中心に据え、基本の反復練習と基礎体力の強化ということに特化していた。
試合になると「自分で考えること」を要求し、サインを出すことが少ない。
体力が付き、技術もそれに伴って身につけさせ、試合を経験させることで自ら考えるという癖をつけさせていく。
プロ野球選手としての下地を作るというものだ。
しかしそれが出来上がった頃に、根本氏は監督を退いた。
本書にも書かれているが「もったいない」と関根潤三氏が声を掛けると、「俺は勝たせるのは苦手」と言ったという。
そして招聘するのは、自分とは違う管理野球を志向する監督だ。

西武ライオンズの監督を退き、監督に据えたのは広岡達朗氏。
スワローズを初のリーグ制覇、日本一に導いた監督だが、カープ時代根本氏は広岡氏をコーチに招聘しているが、その関係は良好とは言えなかった。
しかしそんな人間の好き嫌いで監督を選ぶことはないのが根本氏だ。
自分が基礎を築いたチームを勝たせる監督は誰か?そこにしか興味がないように、人事を動かしていく。
ここにも俯瞰で見るという特徴が伝わってくる。
人は自分の欠点を隠したいものだ。
あえてそこに触れないようにする。
ただ根本氏は、そこに平気で触る。
自分に足りないもの、勝つために必要なものを持っている人を感情は置いて、チームに必要だと思えば動く。

「非情」には、感情に左右されないという意味がある。
贔屓は好みというのも感情だが、嫌い、合わないというのも人の心にあるものだ、情と言ってもいいだろう。
根本氏のチーム編成をする上での選手獲得はもちろんのこと、監督人事にも感情は持ち込まない。
そこには客観性と俯瞰で見る視線しかない。

そんな根本氏の経歴を見ていると、今のスワローズの小川監督とキャリアが似ていることに気づく。
今の12球団の監督で、スカウト、編成トップを経験しているのは小川監督しかいない。
もちろんその筋の人が挨拶に来たといわれる根本氏と、温厚な紳士と言われる小川監督の見掛けは大きく違う。
しかし「非情」という共通点は持っているように感じる。

優しい、穏やかだと評判の小川監督だが、田中浩康から山田哲人、相川亮二から中村悠平への移行には、非情さが見られた。

それともうひとつ、おそらく小川監督は意識していないだろうが、第2次政権になって後任の人事に変化を見せている。
前回は小川監督から真中監督へという流れだった。
小川監督は時に守りを度外視するほどの攻撃野球、試合中動くことは少なく、選手の力量に任せることが多い。
これは真中監督の自主性に繋がるものであり、監督交代はある意味良い流れだったように見える。
その2年連続最下位から真中監督は就任1年目でリーグ制覇を果たした。
しかしその後低迷し、再び監督へ復帰すると、「自分の中にないもの」という厳しさを打ち出すために、球団からの評判が決して良くなかった宮本慎也をヘッドコーチへ招聘した。
宮本ヘッドコーチは、守りを重視する細かい野球を好むうえ、試合中でも選手を呼び注意することを厭わないタイプ。
小川監督とはタイプの違う指導者だ。
前回リーグ制覇を果たしたのだから失敗だとは言えないが、安定した強さを持たせることは出来なかった監督交代。
そこを反省に今度は宮本という自分とは違う後任候補をベンチへ入れた。
反省と言うと簡単に思えるが、その中身は自分の野球人としての欠点を認めたもの。
容易く出来るものではない。

今年のドラフトで根尾昂を指名したスワローズ。
抽選を外した後に投手を行ったところから、そこに後任候補の宮本ヘッドの以降が見られる。
野球頭脳は高いが、感情的になるという自身も認める欠点を持つ宮本ヘッドがこのまま小川監督の後を継いだ場合、その右腕となるのは恩人野村元監督の右腕と言われ、年齢的にも上の橋上秀樹氏を二軍チーフコーチとして招聘している。
今季のチームの欠点出会った試合に勝つための戦略性を埋める存在でもある。
小川監督自身は攻撃野球を好むが、勝つために必要なものが違うとすれば、方向転換をすることに抵抗を持つことはない。

高田氏が「小川はGMに向いている」と言ったのは、自分の情を殺しチームのために何をすべきかをまず考えることが出来ると見たからだろう。
ただこれは訓練で出来るものではない。
人を惹きつける魅力と感情に左右されないという両面を持ってこそ可能なポジション。
ある意味素質と言えるのかもしれない。

根本氏は日本プロ野球が生んだ、現在で言うところのGMの最高傑作だろう。
チームだけでなく、人を育てることへ情熱を注いだことは、渡辺久信ライオンズGM、辻発彦監督、大久保博元元イーグルス監督、秋山幸二元ホークス監督、工藤公康監督、ライオンズ、マリーンズで監督を務め来季からドラゴンズのヘッドコーチとなる伊東勤氏など、ライオンズOBに要職が多いのは、単に上昇期のライオンズOBというだけでなく、根本氏の教えが繋がっているからだろう。

その根本氏のような存在になるGMが日本球界に再び現れるだろうか?
もちろん時代の変化があり、“寝技師”と呼ばれた根本氏のようなやり方はもう出来ないかもしれない。
しかし違った形で、チーム作りをする長期的視野を持つGMの誕生は日本球界の発展において必要だろう。
その中で経歴の重なりが多い小川監督は、後任になれる存在のようにも思える。

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~フリーコラム~悔しさプラス知らない強みと託された思い

スワローズのキャンプが順調に進んでいる。
大引啓次の離脱はあったが、心配されていた畠山和洋川端慎吾は第一クールを無事に過ごし、まずは一安心といったところだろう。
小川淳司監督以下、一軍の主要部門のコーチはほぼ入れ替えとなり、厳しい練習が課されているが、昨年の“96敗の悔しさ”もあって選手たちは首脳陣の期待に応えている。
しかし“96敗”という大敗は、そう簡単に拭えるものではない。
悔しさというエネルギーは生み出すものの、それは練習への集中力を生むまでの効果だと思っていい。
実際に進化が問われるのは、シーズンへ入り実戦になってからだろう。
練習は自分との戦いに始まり、同チームのライバルとの争いまでだが、勝負は当然ながら相手がいる。
ここで勝負の怖さを感じられるのならまだいいが、臆病さ、諦めが出てくる場合がある。
いわゆる負け犬根性というものだ。
これはシーズンで拭っていかなければならない。
この作業が簡単ではないため、チームの低迷期というのは意外に長くなってしまうのだろう。

だが青木宣親が入った。
これが大きな効果を生むと思っている。
その理由は単純なもので、青木は昨年のスワローズを知らないからだ。
もちろん数字上のことは知っているだろうし、想像することは出来るだろう。
ただこればかりは、実際にグランド、ベンチにいなければわからないことだ。
だから小川監督は、コーチ陣をかなり入れ替えたのだと思うが、首脳陣だけではまだ足りなかった。
そこへ青木の加入である。
昨年を知らない上に、スワローズ出身選手で一緒にプレーした後輩もまだいる。
さらに衰えて帰ってきたわけではなく、主力を期待されての復帰。
1試合であれば、昨年でもムードが変わるときはあった。
0-10をひっくり返した試合がその象徴的なものだ。
しかし単一の試合ではなく、シーズンすべてに影響を与えるのは、やはり主力選手でなければならない。
その足りなかったピースに青木がなってくれれば、チームはうまく回転するのではないかと考えている。

そしてもうひとつ、もうすでに影響を与えていると思っているのが、昨年引退した今浪隆博の悔しさだ。
負けることは悔しいが、それ以上に引退というのは重い。
それも力がなく辞めるのではなく、病というどうしようもない理由で今浪はユニフォームを脱いだ。

昨年スワローズの主力の多くは戸田での調整を行った。
故障リハビリ中の畠山、川端だけではなく、バレンティンや雄平といった離脱組もファームへ行った。
外様ではあったが、一軍、ファーム問わずチームのムードメーカーでもあった今浪の“出来ない苦しみ”という姿を見たはずだ。
故障は治るが、病とは付き合っていかなければならない。
実際、畠山、川端も故障が癒えて、一軍キャンプに参加している。
しかし今浪の姿はもうない。
毎年多くの選手が辞めていくプロ野球の世界だが、今浪のような引退は数が少ない。
今浪の悔しさは、勝敗とは別のところにある。
外から見ていてもわかるものだが、同じユニフォームを着ていた選手たちならなおさらだ。
今浪の悔しさと故障が癒えればグラウンドに立てる違いの大きさは、自然に伝わっていることだろう。
そうとらえている選手の数が多ければ多いほど、自分に対する甘えが消え、集中力のある練習が出来る。
それは故障を起こす可能性を低くする効果があるはずだ。

気持ちでどうにかなるものではないという人がいるかもしれない。
その通り、プロの世界は気持ちでどうなるものではない。
ただ根本と最後の粘りを生むのが“気”であることを否定はできないはずだ。

スワローズの優勝には“復活”というものがキーワードになっていることが多い。
92年の荒木大輔、高野光、伊東昭光、記憶に新しい2015年には館山昌平の復帰があった。
彼らが故障し、リハビリを続けていく姿を多くの選手は見ていたはずだ。
それがチームの選手の“気”に繋がったことは多分にあったように思う。

残念ながら、今浪は引退し復帰はかなわない。
しかし言葉にはしていなくても、託した思いは伝わっているだろう。
とくに今浪の辛さを目の前で見てきた、今一軍キャンプに参加している主力とされる選手たちは、重く受け止めていると信じたい。
もし受け止めてくれているなら、もうひと踏ん張りのところでの力が出るはずだ。
そういうものが明暗を分けることが、勝負の世界にはよくある。

そして野手の主力であれば、山田哲人、ウラディミールバレンティン、中村悠平以外の主力組は、“96敗”の過程を知らない。
もちろん青木よりはわかっているし、責任も感じているだろうが、シーズン後半さらに失速し、チームのワースト記録を作った試合に参加していない。
その空気を味わっていないのは、今季のチームにとっては大きな意味を持つ。

知らない強みというものもあるのだ。

還ってくることを期待されているのは、実績十分の選手たちばかり。
年齢的な衰えはあるにしても、極端に力を落としているわけではない。
「もし彼らが普通の力でも発揮したら」と他チームに思わせるだけでも、勝負においては有利になる。

実際に“96敗”を味わった選手たち、故障で離脱していた選手たちが持つ悔しさ、そして託された思い、そこへここ数年のチームを知らず、「待ってくれていた恩」を感じている青木が加入した。
今季のスワローズには、いろいろな“気”が充満している。
一本の矢は痛み、弱っているかもしれない。
しかしそれを上手く小川監督が束ねて見せれば、強い矢となって神宮球場でファンの気持ちを射抜くだけの野球を見せてくれるはずだ。

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